幽らり

みんな見ている。邪悪な夢を。

啓土ケイティ2 完結編

『いらっしゃい、東京へようこそ!』

飛行機から降りた俺を迎えるケイティ。
その姿を見た瞬間、俺は安堵した。生まれてこの方、島から一度も出たことの俺にとって初めての飛行機も、空港も戸惑うことばかりだった。空から見た都会の広さに期待と同時に不安も広がっていた。もしケイティが来なかったら‥そんな事を考えていたからだ。
自分を迎えてくれる者がいる。それが歪な関係であっても嬉しく思ってしまう。

『さあ、行きましょう。まずは当面の生活品を買ってからアパートに向かいましょう。』

電車も乗るのは初めてで、目的の駅に行くための経路の調べ方から、切符の買い方もケイティに教えてもらわなくてはいかなかった。
クソ、田舎者だと思われてる‥そんな俺の恥ずかしさがケイティにも伝わったのだろう

『最初は誰でもそうよ。私もこの国にはじめてきた時は何度も間違ったのよ。』

「ああ‥そうだな。」

電車を降り、生活品を買うために大きな街で降りる。多彩な店の数々、見るもの全てが地元とは違い思わず目が行ってしまう。そして人の多さが段違いだった。ふと気がつくと俺はケイティとはぐれていた。

「お、おい、ケイティ!ケイティ!」

思わず声に出して叫んでいた。右も左もわからないこの都会の中で1人でどうすれば‥

『こっちよコウ君!』

ケイティが俺の手を掴んでいた。

『びっくりしたー!気付いたら、いないだもん。』

その優しい微笑みは、ケイティが我が子に向けたものと同じものだった。

『おい、奥さん!』

俺はケイティを抱きすくめる。

『ど、どうしたの?』

「気が変わった。まずはホテルへ行くぜ。久しぶりに奥さんを啼かせてやる。たっぷりとな』

『は、はい‥♡』

一瞬の驚愕の後、その顔がオンナに変わる。
そうだお前は俺の母親じゃない。牝だ。
またそのことを体に刻み込んでやるよ‥たっぷりとな。


『もおッ!許してぇッ♡!!』

ケイティの絶叫がホテルに響く。
だが俺は哀願の声も無視し、彼女に腰を打ち込み続ける。あれから7時間。俺は彼女を責め続けている。

『もう、帰らないと行けないの‥夫が、子供たちが待っているの‥あひッ!』

パン!パン!

「これからは俺が命令したら、どこでも、いつでも尻を差し出しに来るんだ!家族をほっぽりだしてでもな!」

『は、はいぃぃぃぃッ♡!!』

その日は朝までケイティを抱き続けた。そして翌日、ケイティと街で買い物をして、新居となるアパートへと行った。アパートでもケイティを抱き、結局ケイティを家に返したのは翌日の深夜だった。


『じゃあ、コウ君‥じゃなくて火嘉君には今日からここで働いてもらうから』

ケイティはアクセサリーブランドをプロデュースしており、実店舗はここだけだが、ネット通販をメインに根強いファンがいるとのことだった。

そしてケイティが俺に用意してくれた職場がここだった。だが学のない俺が高度な事務仕事ができるわけもない。だからこそ田舎から出ることもできず、人妻を利用するという手段を使ったのだ‥
だができる限りのことはするつもりだった。
でないとケイティに悪い‥あんな事をしておいて今更なのだが…

ケイティは俺にできそうな仕事をあてがってくれてた。そして中々上手くこなせない俺に根気強く付き合って仕事の手順を教えてれた。

パートのおばちゃん達も帰り、夜の9時を回った頃に、ようやく今日の分の仕事が終わった。もう明日でいいとケイティは言ったが、普通の人間が1日でできること、できないというのはプライドが許さなかったのだ。だがとにかく疲れた‥一晩中、ケイティを抱いた時ですらこんなに疲れはしなかっただろう。

『お疲れ様♡』

そう言って事務所の戸締まりをしようとしたケイティの手を掴む。

「今から少しいいか?」

『!…い…いいわよ‥♡』

「はむッ」

ソファに並んで座り、俺はケイティの乳を吸った。体は疲れ切って、もう帰ることすら億劫だったが何故かこうしたくてたまらなくなった。
身をソファに横たえ、目をつぶったたままケイティの乳首を吸い続けた…。

認めたくは無いがこの時、俺は幼い頃に出ていった母親をケイティに重ねていた。

幼い頃は突然消えた母の理由を知ることは無かったが、後から知った話では母はホテルの従業員をしている時、本土から来た宿泊の男に口説かれ、親父と俺を捨てて駆け落ちしたと知った。その俺が今度は‥

そんな事を考えているうちに、頭を撫でるケイティの手が心地よく、そのまま‥

目を覚ますと1時間近く経っていた。寝落ちしてしまったようだった。体力も少し回復してきて、家までは持ちそうだ。

『大丈夫?何なら…今日はどこかで泊まっても…』

「いや、帰れるさ。」

『そう!』

怒ってる‥のか?

疲れているというのもあった、だが何より今日はケイティを家に返してやりかった。
一番下の子はまだ6歳のはずだ‥
俺がやってることは‥いや、何を気弱になっているんだ‥疲れているせいだ。
とにかく今日は帰って休もう…

事務所を閉めてケイティと共に途中まで一緒に帰る。ケイティとマンションと俺のアパートは数百メートルほどしか離れていない。
いつでもケイティを呼び出せるようにと、近くのアパートを探させたのだ。

『じゃあ、お休みなさい』

分かれ道、俺に背を向け家に向かうケイティに俺は声をかける

『ありがとう。』

一瞬、ケイティの足が止まる。だがそのまま何も言わず、美しい金色の後ろ姿は夜の闇に消えた。


『じゃあその什器をそこに置いて!』

「わかりました。社長」

荷物を運ぶ俺にケイティの指示が飛ぶ。あの夏から2年が経った。
あれから俺は次々に仕事を覚え、彼女の片腕と言える程になった。
俺には営業の素質があったようで、彼女のアクセサリーブランドを(無謀にも)大手に売り込むことに成功し、それがきっかけでメディアにも取り上げられるようになり人気に火が付いた。

そして今は横浜にできる4店舗目の支店のオープン準備中だった。

『ふう‥これで大体準備でき‥きゃあッ!』

俺は後ろからケイティに抱きつき、白いホルタートップの上着の下に手を滑り込ませる。

汗で服の下から浮かび上がった乳首。ブラすらもしていない。そし今日の作業はもうこれからは2人きり…

「フフフ‥誘ってたんだろ?お・く・さ・ん。」

『あッ、あンッ♡・・』

乳首を指で捕らえしごきき上げるとケイティは半開きの口から甘い吐息を漏らした。

そのまま、ケイティを真新しい床の上に押し倒す。
新店舗ができる度に繰り返してきた。俺たち2人の儀式。
この店は俺たち2人の新しい子供なのだ。

(今回はあまり店を荒らさないようにしないとな‥前は調子にノリすぎて潮吹かせて後始末に夜中までかかったからな。)

俺はケイティを抱きながらも、この後の段取りについても考えを巡らせる。
儀式は最長1時間半。ホテルに戻って十分な睡眠を取って明日のオープンに備える。
早朝から行列ができるから、5時には店頭で整理券を配って、近隣店舗前に行列がかからないようバイトに指示を‥

昔の俺はヤルことしか考えてないガキだったと今更ながら恥ずかしくなる。
俺を成長させてくれたのはケイティだった。
根気強く俺に寄り添ってゼロから仕事教え、時には厳しく仕事を教え込んだ。
その時ばかりはご主人様と奴隷の関係ではなく、部下と上司だった。
どれだけの時間を彼女と共に一緒に過ごしたか‥

都会に出るための足がかり、利用するだけの女。ケイティをそんな風に思っていた2年前の俺が、もし今、目の前に現れたら…死なない程度に殺してやるだろう。

『コウ君‥来て‥♡』

40の年を感じさせぬ美しいケイティの肢体に、俺は自分自身を突き入れた。


溺れる。彼に溺れていく。
真昼のオフィスで彼の求めに応じて痴態を晒すケイティ。
夏に出会った時は我が身を貪ろうとする野獣でしかなかった。
これからも変わらずに続いていくであろう平和だが、退屈な家庭生活への静かな絶望。それにバカンスの開放感。
そこから生れた一瞬の心の隙間…

っそして最悪のタイミングでケイティの心の隙間に入り込んできたのがコウだった。
強引に体を奪われ、若く荒々しいセックスは夫への貞操を守りぬいてきた人妻の理性を焼き切ったのだった。


『やだ!こんな時間!』

俺の隣に寝てたケイティがベッドから飛び起きる。
昨晩、俺の部屋に夕食を作りに寄ってくれたケイティを食後のデザート代わりにいただいた。
家に帰らないといけないと抵抗するケイティの尻を剥いて、アレを突き入れ、喘ぎ声しか出せないようにしてやった。

そのまま夜中まで互いの肉体を貪りあった。

『すぐ帰らないと…今日は子供達の弁当作らないといけないの…』

「ダメだ。俺の朝食がまだだ」

俺はケイティの脂の乗り切った体にかぶりついた。

『あッゥ♡』

そのまま背後から尻の割れ目に指を滑り込ませ媚肉をほじくりまくる。

『ううンッ♡ はあッ♡!』

「第二ラウンドだ。奥さん」

俺は聳り立つそれを人妻の顔に押し付けた。

そして母親を再び牝へ引きずり戻した。

ーー

その日ケイティは結局、直接子供の学校に弁当を届けることになり、俺はその車の運転手をさせられた。
結構本気で怒っていた…


『ええ、ごめんなさい。あなた、今日も帰れそうにないの‥ 新店の準備に明日はテレビ取材もあるから‥大丈夫よ。新オフィスビルには台所も仮眠室もあるから‥ええ、愛してるわあなた。あ、メイに誕生日にはちゃんと帰るからって伝えておいて…』

ビルの屋上で一服しながら家族への電話を済ませるケイティ。
彼、火嘉孔太の成長は目覚ましかった。2年前は電話応対すらまともにできなかった青年が、今では敏腕の営業マンとなり、ケイティの会社の業績を何倍にも引き上げた。

その裏に彼自身に血のにじむような努力があったことをケイティは知っていた。ずっとその近くで育て見守っていたから、時には上司として激しい叱咤を行ったこともある。そんな時でも、彼は公私混同することなく部下として、その叱咤を受入れ、自らの至らなさを改善していった。

物怖じしない性格で無謀とも言える大手ルートへの営業活動にも挑み、それを成功させていった。名物営業マンとしてテレビやネットに顔を出し、若い女性ファンすらいるほどだった。

これまで彼に貢いだ金など、彼がもたらした利益に比べればもはや大した額でなくなっていた。
この真新しいオフィスビルへの転居も、彼の業績あってこそだった。そして自分が育て上げたのだ。あの野獣のようだった青年を。
彼はケイティにとって成長を見守ってきた子供であり、仕事の頼れるパートナーであり、そしてセックスで自分を支配するオスだった。

「屋上にいたんですね。社長」

思いを馳せていると、屋上の扉を開けちょうど彼がやってくる。

「明日のテレビの取材の段取りですが…」

『コウ君‥お願い‥』

ケイティの声色が社長から女のそれに変わる。

「こんなことしてていいんですか?明日は‥」

『フフ‥どうせ今日はまともに寝る時間なんてないわ。それに明日は下の娘の8歳の誕生日で夜は一緒にいれないから‥』

「チッ!‥いいぜ奥さん」

コウの中で野獣のスイッチが入る。自分がどんなに成長しても何度ケイティを抱いて、ッドの上で狂わすことができても、それは刹那的なものに過ぎず、最後はケイティは自分より家族を選ぶのでないかという嫉妬と不安。

今では女もよりどりみどり、金も十分にある。だが野心のために使い捨てるつもりだった存在が、今ではコウにとって最も手に入れたい、独占したいものになっていた。
ケイティの子供達が、ケイティに愛情を注がれることに嫉妬し、ケイティの旦那が彼女の体に触れることが許せなくなっていた。

ーー

『あッ!ああァァツ!』

コウに貫かれながらケイティが甘い叫びをあげる。
その首元に残るキスマークはコウが付けたものではなかった。

先日、それに気付いたコウが問い詰めると、ケイティが久しぶりに夫に夜の営みを求められたと告白した。
その時コウの中に湧き上がったのは、最愛の女性が他の男に抱かれたという焦燥感と悔しさ。

筋違いなことは分かっていた。人妻に手を出しているのは自分の方なのだ。
だからこそケイティを責めることはできなかった。だがそれでも‥


「すごかったね。お母さんのパーティー!」

ケイティの娘メイは、先刻の母の姿を思い出しながら目を輝かせた。

母ケイティが社長を務めるアクセサリーブランドは、この1年で飛躍的な成長を見せ、メディアでも話題になるほどだった。今日は高級ホテルで製品発表会を兼ねたパーティーが行われ、ケイティの家族達も招待されていた。

テレビで見たことのあるモデルが母のデザインしたアクセサリーを身に着け登場する。そして紫色のドレスを纏い、主催としてパーティーを取り仕切る母の姿に憧れた。

母はパーティーの後片付けや、商談の仕事があり、今夜は帰ることはできないのことだった。少し寂しいが母への誇りを胸にメイは家族と家路につく。

パーティーが行われたホテルのスイートルーム。
そのベッドで母が四肢を縛られていることなどメイは知る由もない。

「フフ‥娘の前では立派に憧れのお母さんしてたじゃないか?」

『あ、あの娘のことは言わないでぇッ♡』

「ますます興奮してるじゃないか。家族をネタに盛る最低の母親め!俺がお仕置きしてやるよ!」

『シテッ♡!いっぱいお仕置きしてッ♡!』

ギシギシと激しくベッドがきしむ音が響く。

「浮気チ○ポは気持ちいいか!奥さん?」

『いいッ♡!浮気チ○ポ気持ちいいぃぃンッ♡!!』

「私ね。大人になったら絶対お母さんみたいな女性になるんだ!」


『もう!放っておくと偏食しかしないんだから!」

キッチンに子供を叱る母のような声が響く。
だがその相手は我が子ではない。
3人の我が子と夫は1時間も前に家から送り出していた

20近くも年下の若い男の前で、素肌の上にエプロンだけを付けた煽情的な姿。家族も知らぬ、一家の母親のもう一つ姿。

叱られ、気不味そうに顔を背ける青年をケイティは愛おしく見つめる。

火嘉孔太(ひがこうた)去年の夏にケイティの貞操を強引に奪った男。

(もう子供なんだから…)

自分を利用し、しゃぶり尽くそうとする恐ろしい男だと思った事もあった。

だが都会に出てきた彼は、見知らぬ街で母の手を離すまいとする小さな子供のようで、そしてそれを悟られまいと虚勢を張る年相応の19才の青年だった。

だが情事の時は荒々しく、そして時に残酷に牝を支配する牡であり、被虐の悦びをケイティに刻み込んでいく。

母のように守ってあげたいという感情と、牝として支配されたいという矛盾した感情が、情欲のシロップと絡まり、この男への愛となっていた。

その愛の前には最愛だったはずの家族への愛すらも霞んでしまうほどに。

15分後。腹を満たした男にケイティはキッチンで後ろから突きまくられていた。
今朝、家族と過ごしたばかりその場所で。

「俺と家族、どっちが大事だ⁈」

『あなたッ♡あなたよ♡!』

男は己の精液を棚のフォトフレームに飾ってある家族の写真へぶち撒けた。

「舐め取りな。奥さん」

『ふわぁぃ♡』

突き出した舌で精液に塗れた写真を舐めあげるケイティ。
写真の中では5人の家族が幸せそうに微笑んでいる。

だが母の最も強い絆はもう家族との間にはなかった。


「か…母さ…ん..?」

その日ケイティの長男マイクは母の秘密を知った。

「うるさい!ババア!」

腕を骨折した”僕”を気遣い、世話を焼いてくれていた母に対して怒鳴ったの今朝のことだった。
ようやく掴んだ部活のレギュラーの座を失うことへの焦り、そして励ましてくれた母の言葉が無責任なものに聞こえ、一瞬で沸点を超えてしまった。

帰ったら謝ろう。そう思っていたが仕事で遅くなるからと連絡があった。夏から母は仕事で帰りが遅くなる日が増えた。中には朝帰りする日もあった。
しかし僕が怪我をしてからは早く帰って僕の世話を焼いてくれていたのだ。

それが久しぶりに遅くなるというのは今朝の出来事が原因なのは間違いない…
僕は母の経営するアクセサリーショップへ向かい、そしてショップのあるビルの屋上で見てしまった…

「子供が怪我をしてるからって、最近はご無沙汰だったのに。もういいいのか?」

『ええ、もういいの‥。今日は滅茶苦茶にして‥』

階建の手すりの陰で息を潜めながら、僕は生まれて始めて生のセックスを見た。もっとも身近な女性の。

(母さん‥どうして、そんなやつと。父さんがいるのに‥)

その日見たものを僕は誰にも言えなかった。父さんにもそして母に問い詰めることも。
母さんへの罪悪感と、そして今の家族がバラバラになってしまうのでは無いかという恐怖。

しばらく様子を見てこの関係が終わるのを待とう‥だが終わりの時は思ったよりも早くやってきた。


『お願い…わかって…』

ケイティの弱々しい懇願の声がオフィスに響く。

—-

背徳の蜜月に終わりの時がやって来た。
ケイティの妊娠。無論旦那の子ではない。家族に知られれば全てが終わる。 

家族に赦しを乞うか、罪の代償として離婚するか。どちらにせよ。彼、コウとの関係に終止符を打たなければいけないとケイティは考え、その事を彼に告げた。

「あなたの事は絶対に秘密にし、責任及ぶような事はしない。この会社も譲り自分は退任する、だからこの関係を終わらせよう。」と

元々、彼にとって自分は道具にすぎない、人妻を妊娠させたという厄介な責任の前には、
そして全てを手に入れた今では、自分にさほど拘ることなく別れを受け入れるだろうとケイティ思っていた。
だが自身が思う以上に、コウにとってケイティの存在は大きなものになっていた。

「結婚しよう」

コウの言葉に涙が溢れそうになる。しかし、自ら家族を捨てることはできなかった。そして何より可能性に溢れた彼の未来にとっての重荷になると思ったケイティはその求婚を断った。

ケイティの拒絶にコウは逆上し、その場で無理矢理ケイティを犯す。そして彼女を家族から完全に奪う決意を固める。

(ケイティ。お前の未練を断ち切ってやるよ。心患うことなく俺の子を産めるように…)


『もう家には来ないでって…』

自分を避け始めたケイティの元に押しかけるコウ。
抵抗するケイティを押し倒す。

拒絶するも、散々覚え込まされた肉の悦楽。熟した肉体は否応無しに燃え上がる…

『イヤァ!!止めて!お願いィッ! 見ないで!ママを見ないでぇぇ!』

夫と3人の子供達の前でケイティは絶望の悲鳴を上げる。それでも構わずコウはケイティの尻に己の肉棒を打ち込み続け、一家の母は家族の前で絶頂に押し上げられる。

『イヤぁぁぁぁ!イキたくないッ! イキたくないのぉォッ!!』

末っ子の鳴き声、長女の呆然とした眼差し、長男の怒りの叫び、諦観を湛えた夫の悲しい瞳…

ケイティが倒れたとウソのメールで、出かけていた家族を。家に戻るように仕向けたのはコウだった。

この日、啓土家は破壊された。


夕焼けが都会の空を染める。あの夏の日もこんな夕焼けだった。丘の上にある公園で一人佇むケイティ。

あの後、子供達は一時的に夫の両親のところで預かってもらい、ケイティは夫と二人で話した。あの夏の日から今日までの全てを打ち明け謝った。そして別れてくれと。
ケイティもまた夫から衝撃的な事実を打ち明けられた。全て最初から知っていたこと、だが倒錯した欲望に負け、見て見ぬ振りを続けてしまったことを。
君と初めからやり直したい。家族の絆を取り戻していきたい。だがヤツの子供を産む事だけは許せないと。

夫の申し出はコウに取っては想定外だった。家族の絆を壊してしまえばケイティの戻る場所はもう自分のところしかない、そう思った。だが夫は全てを知った上でケイティとやり直したいと。コウの子供を堕ろした上で。

コウはケイティに懇願するしかなかった。一緒にいてくれ。お前にしたことは一生をかけて償う。俺を、そして俺との子を捨てないでくれと。

どちらを選択してもケイティが失う物は大きかった。だが快楽に溺れるままに家族を傷つけ、加害者となった自分にとって選択肢があるだけ、幸運なことだとケイティは思った。

燃えるような夕日に照らされながらケイティは目を閉じる。

夕日が地平線に沈んだころ、ケイティは静かに目を開ける。その瞳には決意の光が宿っていた。

ケイティは夕闇の中を歩き始めた。自らが選んだ道を。

– 完 –

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