幽らり

みんな見ている。邪悪な夢を。

【母・廃業】 – 断罪 –

羽山達が撮っていた母の調教ビデオを全て見終わり、しばし僕は放心状態だった。

しかし部屋に立ち込める腐臭に気づく。それはPCの横に置きっぱなしにしてある羽山の人差し指からだった。動画を見ていた丸一日以上も放置してあったのだから切り口から腐り始めるのも当然だろう。

羽山からPCのパスワードを聞き出すために、指の1本や2本折るつもりだったが、奴のPCに指紋認証があるのを知り、手間を省くことにした。一本一本指を折りながら尋問するより、ニッパーで10本切り落とすほうが早かったのだ。

拘束されても「子供に何ができる」と言わんばかりの余裕の笑みを見せていた羽山も、最後は全ての指を切り離された掌を見ながら、泣き叫んでいた。うるさい口を塞ぐため、切り落とした9本の指を羽山に咥えさせ、そしてバイブで喉奥へと押し込んだ。

指を咥えて見てな。

それが僕が羽山にかけた最後の言葉だった。羽山はしばらくヒクヒクと痙攣していたが、ビデオを見ているうちに動かなくなっていた。

竹仲はまだ生かしてある。このビデオを見終わった時に、溢れ出る怒りをぶつける為に。まずはミキサーのガラスカップを割り短くしたもの。これぐらいの浅さならちょうどいいか、まずはこれをヤツの股間に被せてスイッチを入れる…僕は準備を始めた。


十数時間に及ぶ拷問。ついに助からないと腹を括ったのだろう。

『殺すなら殺せ!お前の母親は最高に美味かったぜ!』

悪態をつきはじめた。僕は生き残るチャンスとやると言って賭をした。
賭の状況に一喜一憂する竹仲は滑稽だった。結果は一つしかないのに。そう最初から竹仲が勝つように仕組んだ賭だった。


賭に勝利し「助かる」と竹仲が安堵の表情を見せた瞬間。僕はスイッチを押す。竹仲の足首に繋がれた鎖を巨大な歯車が引きずり込んでいく。足から血しぶきを上げ歯車に飲み込まれていく竹仲に僕は呟く。

アレは嘘だ。

嘘つき!嘘つきぃいいいい!!

生の希望にすがったことで、一度は決めた死への覚悟は崩れ去っていた。痛みと恐怖で矜持の糸が切れ、子供のように泣きわめく竹仲。

お前たちは何度母さんにウソをついた?

すでに胴体まで歯車に巻き込まれていた竹仲に、僕の最後の言葉が届いていたかはわからない。

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