幽らり

みんな見ている。邪悪な夢を。

森妃⑥ 夕暮れの丘

数十年後。どこか遠い国

『ふーっ』

夕暮れ時、やっと洗濯物を取り込み終えたメルティは一息付く。18人家族ともなると、その量も半端ではない。

ふと遠くに目をやると、丘の上の我が家に向かって、3つの小さな人影が坂を登ってくるのが見えた。それは3人の小さな子供だった。

わちゃわちゃと騒ぎながら、家の前にたどり着く

『おチビさん達ウチに何か用?』

「ルシアに会いにきたでち」

不思議なことに、まだ小さいのにまるで長い旅の果てに此処に辿り着いた旅人のような雰囲気があった。

『お母さんに?お母さーん!
 お母さんに可愛いお客様よー!』

家の中から足音が聞こえ、そして…

–  完 -

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