肉母哀歌 最終話 泥に沈む

んむッ♡ううッ!

聞き覚えのある声で私は目を覚ます。冷たく硬い床の上、ビルの工事現場のようで、放置された工事の器具と、剥き出しのコンクリートの壁が四方を囲んでいる。酷く頭が痛む。立とうとするが手は後ろに縛られ、足首には鉄の足枷のようなものが嵌められていた。

何故こんな状況になっているのか、目が覚めたばかりで記憶が曖昧だった

…そうだ、妻の綾が家に帰らなかったからだ。あの男の元にいるのだとすぐに気付いた。だが家庭を壊さぬため見ぬ振りをしている以上、探すことも、問い詰めることもできない。帰ってきた妻の言い訳を信じたフリをするしかなかった。いつものように…

だが2日目の夜も戻らなかった。3日目妻を探そうとするが手がかりが掴めなかった。例の風俗店にも出勤してはいなかった。

だが意外なところから、手がかりが出た。娘の芽依だった。「ママのスマホの位置わかるよ…」と

芽依は女の子なのに小さい頃からパソコンや電子機器が大好きで、おもちゃがわりに育った、変わった子だった。

綾のIDとパスワードをコッソリ盗んでいたのだと告白した。それでスマホの現在地がわかると。

本来叱るべきところだが、今はそうも言っていられなかった。そうして辿り着いたのは、打ち捨てられた別荘地だった。とある山の中腹にあり、道はあるがかなり人里から離れていた。

なぜそんな場所に…嫌な予感がしたが、行かない訳にはいかなかった。綾のいる建物はすぐに検討がついた。一軒だけ電気が付いていたから。

そうして、その建物の扉を開けたところ、あの男が待ち伏せていて、いきなり殴られて、意識が途切れたのだった…

酷く殴られたせいで、まだ視界がぼやけている。だがそれでもわかった、目の前で逆さまに抱えられ…男の肉棒を夢中でしゃぶっているのは、紛れもなく私の妻、綾だった。

男が逆さまに抱えた妻の股間に顔を埋め、激しく動かすたび、妻の肢体がビクン、ビクンと震える

『ンむぅ♡!うぶッ』

ぼやけていた視界が戻り、宙吊りにされた妻の顔が、床の上からでもハッキリとわかる。下品に頬をすぼめ、夢中で男の肉棒をしゃぶりながら、顎を激しく振っている。その様はまるで…ひょっとこのようだった…。美しく気品に満ちていた妻が、別の生き物に変わってしまったような錯覚に見舞われる。

「やめろ綾! やめてくれ!」

だが私の叫びなど聴こえていないかのように、妻は夢中で男の肉棒をしゃぶり続ける。

フフ、立ちシックスナインは骨が折れるが、寝取った女を旦那に見せつけるには最高だ。

男が妻の股間から口を離し、私に話しかける

久しぶりだな、絹崎勝

何だと?

この傷を見ても思い出さないか?

男の左の頬に裂けたような傷跡

中学の頃、お前らに無理矢理カッターの刃を食わされ、殴られた時のものだ。10万用意できなかった罰だと言ってな


お前…ブタ竜(ブタタツ)か…?いや…名は……

本名を思い出そうとするが思いだせない。思い出すのは陰気で肥満で卑屈な笑いを浮かべる、中学の同級生の姿だった。

いじめた相手の名前すら覚えていないか…

昔は私も”やんちゃ”していた。
抵抗しないヤツをパシリに使い面白半分に殴り、金を巻き上げていた。

あの日、10万を持って来いと言った奴が初めて逆らった。
「女手一つで育ててくれた母さんから、もう金を盗みたくない」と。

お涙頂戴の言い訳など私達にとってどうでもよかった。片親なのは知っていたし、だがそれが俺達に何の関係があるのかと。若さ故の残酷さというものだろうか。
私達はカッターの刃を奴の口に押し込み。その上から殴りつけた。
頬からカッターの刃が飛び出し血まみれで悲鳴をあげ転げ回る奴を
仲間達と笑いながら蹴り続けた…だが

あんなものは”若気の至り”だ!
だがお前のやってることは犯罪だ!
許されると思うな!

怒りを込めて私は叫んだ。

いずれお前のガキにもカッターを食わせてやるぜ。

ふ、ふざけるな!
あんな事を俺の子供にするだと!
私は子供だから許されたんだ!
だが、お前は違う!

見下していた相手に最愛のものを傷つけられるという屈辱で怒りが爆発した。
当時の記憶を思い出し、ありったけの罵詈雑言を投げつける。

勉強も運動もできないデブで、根暗で、
おまけに片親でみすぼらしい格好をしていたお前が
俺の子供に手を出すだと!ふざけるな!

あれは、ちょっとした″やんちゃ″だ!いじめなんて大それたものじゃない!

20年以上前のことを逆恨みしている、ヤツこそが異常なのだ。

ハハ…ようやく本性がでたな、
お前のように、笑いながら人を殴り、金を巻き上げていた人間が、学校で何 PTAをやってると聞いた時は笑ったぜ。いじめはいけませんとでも言ってるのか?

若気の至りだ!
誰だってやっている!
時効だ!
とっくに許されてる!

誰が誰を許したんだ、少なくとも俺は許した覚えはない…ぜ!

奴が男が再び妻の股間に顔を埋め口を動かす。

んんーッ♡!!

くぐもった歓声をあげ、もち上げられた妻の脚がビクビクと動く。
子供の頃、生きたまま腹を割いて遊んだ蛙の脚のようだと、怒り狂っているはずなのにどこか冷静な頭の片隅で思った。

もう一ついいことを教えてやる。お前の娘を女にしたのは俺だ。
芽依は俺と綾の関係にお前より早く気付いて
俺に接触して来たのさ、ママに近づかないでってな。

な、なんだと…

だが傑作なことに。あいつは本当は俺に抱かれたくて、わざわざ二人っきりになるタイミング俺に突っかかってきたのさ。

出鱈目を言うな!あの子は賢い子だ、そんなマネ・・

そこまで言いかけて言葉が止まる、そうだ。芽衣は○学生ながらも年齢以上に賢く、父の私でさえ舌を巻くような機微を見せることがある。
そんなな子が、不用意にこの男と二人っきりになるようなことをするだろうか‥

首を掴んだら身体の力が抜け、後は口だけの抵抗だったな。
股を弄ったら、子供がてらに濡れていて、問い詰めたら俺と綾の情事をずっと隠しカメラで盗み見ていたと白状したぜ。

あの子にそんなことできる訳がない!

本当は分かっていた。あの子なら隠しカメラの取り付けなど造作もないだろう。

処女を散らせてからは従順になってな。
未成熟な蕾で俺の肉棒を受け入れ耐える姿は可愛いものさ、
そのまま浮き出た肋骨をギターを引くような感じで弾いてやると感じまっくて、犬のようにうれションするのさ。

○学生なんて趣味はないと思っていたが
あれはあれでいいもんだ。
チ○ポを突っ込んだまま、小さい体ごと揺さぶる。生きたオナホールって感じだ。

黙れ!黙れーッ!

そして…お前をここに誘き出すのに、協力したのも芽依さ。お前が俺にしたことを話したら泣いていたぜ。芽依からの伝言だ「パパ、最低」だとさ。

ぐらっと世界が揺れた気がした。妻もそして娘さえも私を裏切っていた…

畜生!殺してやる、殺してやるぞ!
そうだ!あの時の仲間を集めて、
またテメエに、生き地獄を味あわせてやる!

群れないと、悪さ一つできないか…
だが、わざわざ呼ばなくても、あいつらもうそこにいるぜ。

ヤツが顎で示した先にあるのは、床だった…いや、所々に四角い新しいコンクリートで塗り固められた部分がある。そしてそのすぐ隣りには、泥のような生コンクリートで満たされた坑があった。恐ろしい想像が脳裏をよぎる。

竹中、鮨呉、葉山の3人はもう、その中だ。

奴らの女房を。恋人を。娘を。奴らの大切なモノを目の前で壊してから沈めてやった。

恋人を肉奴隷にされた竹中は泣き喚いて、
恋人も金もやるから命だけは助けてくれと命乞いしながら沈んで逝った。

女房を娼婦にされた葉山は、最初は怒り狂って叫んでいたが、
死の間際には死にたくないと叫びなから沈んで逝った。

娘をペットにされ、娘から罵倒された鮨呉は、茫然自失のまま沈んで逝った。

絹崎。お前はどうかな?

そういうと奴は妻を床に下ろし、壁際の装置のボタンを押す。モーターの回るような音が部屋に響き、私の体はフックに引きずられ、そのまま生コンクリートの満ちたプールに落とされた。鉄の足枷のため足元からズブズブと灰色の沼に沈んでいく。

綾と芽依は他の女達同様、俺のペットとして可愛がってやる。お前達4人は全員クズだったが、女を見る目はあったようだな。どれもイイ女ぞろいだ。

お前達の愛した女どもを全員俺が孕ませてやる。俺の血が受け継がれ、お前達はここで終わる。

既に私の肩まで沈んでいた。こんな事が…こんな事が、許されていいのか。神よ、この世に正義があるなら、どうかこの男を殺して下さい。そして私をお救い下さい。
絶望的な状況の中で私は神に祈った。子供の頃、祖母と一緒に行った教会で一度だけ祈った神、神は善人を救い、そして悪人を裁くはずだ。なぜ神はこんなことを許す。

もう首まで沈んでいた。私は顔を上げ少しでも長く顔を水面上に出そうとするが、それも虚しい抵抗だった。

じゃあな、せいぜいコンクリートの中で20年ぶりの同窓会を楽しんでくれ。

ああンっ♡ 竜二さん、もっとぉ♡

床の上では。綾が尻を振りながらおねだりをしていた。もはや私のことなど目に入りもしないかのように。

「綾ッ!綾ぁーーッ!!」

怒りなのか、助けを求めたのか、自分でも分からないまま、ありたっけの声で妻の名を叫んだ。口の中にコンクリートが流れ込み、私の視界は黒い泥に沈んだ。