肉母哀歌3.1 私の幸せな家庭

自分でも驚くほど冷静に体が動いた。妻たちに気付かれぬよう脱衣所を抜けて家を出た。

出会った頃のときめき
プロポーズが成功した時の歓喜
新婚時代の甘い蜜月
子供ができた時の喜び
夫婦で乗り越えてきた日常の苦楽
家族で積み上げて来た思い出…
それらが汚辱の泥で塗り潰されていく…
それでも、全てが白日の下に晒されてしまえば、
この家庭は壊れ、二度とは元には戻らない

…私にそんな事はできなかった。


『おかえりなさい。あなた。』

「「パパー!おかえりー!!」

いつも通りの時間に帰宅した私を妻と子供達が暖かい声で迎える。

「誰よりも愛してるよ。綾…」

『……ええ…私もよ…』

一瞬の間と、妻の顔に浮かんだ陰りに私は気付かないフリをした。

私の幸せな私の家庭…