肉母哀歌3.1’ 鮮血のバスルーム

私はその場から動けず、妻と男の情事を眺めるしかできなかった。

どれぐらいそうしていただろう、突然風呂のドアが開く

「ガラス越しじゃ物足りないだろう?」

男は不敵な笑みを浮かべながら妻を腕に抱いていた。
この女はもう俺の物だという自信に満ちた笑い。

『あ、あなた・・・!』

「貴様よくも!」

私は男に殴りかる。だが喧嘩なれしているのだろう、逆に腹にパンチをくらい床に倒れる。

「クク…はじめまして。旦那さん」

「き、きさま…そんな事してタダで済むと思うな。警察に…ッ!」


「フフ…バレた以上、一家そろって風呂に沈んでもらおう。もっとも奥さんはソープ。あんたとガキ共はそのままの意味だがな!」


「お願い!やめて!』


バシッ!男が綾を殴る


「手伝う気がないなら引っ込んでろ!」

男は身動きの取れない私の頭を引っ張り湯舟に押し込む
ゲホ、ゴブッ
「クク…邪魔なガキ共も同じように後を追わせてやるぜ。いや…娘の方はそっちの趣味の金持ちに売れるか…母親と同じ意味で風呂に沈めてやるぜ…おっと失礼。もう聴こえていないかw」
湯船の水面が静かになり、蛇口から雫が落ちた…

「…グァッ‼︎」
脇腹に焼けるような痛みを感じて振り向く
「あ…綾!…てめえ!」
綾は無言のまま何度も包丁を振り下ろした。
やがて血まみれの男が浴室に転がる
「あ…綾…助けてくれ…愛してるんだ…」

何も答えず…そして泣きながら綾は男の額に刃物を振り下ろした。


1月10日 14時26分
119に通報あり。現場に駆けつけたところ二名の男性が倒れているのを発見。一名は出血多量でその場で死亡を確認、もう1名は大量に水を飲んでいたようだが、人工呼吸を施された形跡があり、一命を取り止めた。なおこの家の主婦が消息不明となっており、何らかの事情を知っているとみて捜査している。